デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室

第二種電気工事士試験について、少しでも役に立つ情報を発信します。

回路の力率計算は抵抗のみ

以前(デルタ結線の問題:2019年度上期問5 - デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室)、コイルは電力を消費しないと解説しましたが、実を言うと力率計算でもコイルは使われることはありません。実際は、コイルは電流の位相を90°遅らせるわけですが、第二種電気工事士の筆記試験で出題される回路の力率計算ではミスリードをするための存在です。

では、具体的な過去の問題を使って解説をします。

 今回は、平成29年度上期の問2を解説します。

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平成29年度上期問2

この回路における力率はいくらか?という問題です。

この回路において、力率計算で必要なのは「電源電圧」の204Vと、「抵抗に加わっている電圧」の180Vのみです。先ほども述べましたが、コイルに加わっている電圧96Vはミスリードです。

では、具体的な力率の計算ですが、以下のようになります。

回路の力率=抵抗電圧÷電源電圧×100[%]

です。野球の打率の計算や、サッカーのシュート決定率などと同じ計算の仕方だと思います。なので、この問題の力率は、

回路の力率=180÷204×100=88.23%

となります。第二種電気工事士筆記試験の解答群は、小数点以下がない場合が多いので答えは88%となります。

インピーダンスの計算ではコイルの値(誘導性リアクタンス)が必要ですが、力率や電力の計算ではコイルの値は必要ない場合が多いです。問題文をよく読んで、コイルの値が必要かどうかを判断してください。今後、この手の問題もできるだけ多く解説したいと思います。