デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室

第二種電気工事士試験について、少しでも役に立つ情報を発信します。

デルタ結線の問題:2019年度上期問5

今回はデルタ結線の計算問題を解説します。ちなみに、スター結線の計算問題が出題された場合、デルタ結線の計算問題は出題されない傾向にあります。

また、インピーダンスの計算をする場合もありますが、数字の組み合わせは「8」と「6」の組み合わせと、「12」と「16」の組み合わせが出題されます。それ以外は電卓が持ち込めない以上は出題されることはないかと思います。

インピーダンスの計算において、8と6の組み合わせは10Ω12と16の組み合わせは20Ωとなりますので、計算に自信がない場合はこの2つだけ覚えてもらって大丈夫だと思います。

では、実際の問題を解説します。

 今回は、2019年度上期の問5になります。

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2019年度上期問5

この問題については、回路全体の電力はいくらになるか?という問題です。線電流や相電流などを求める問題ではありません。

計算の手順としては、

  1. 一相あたりのインピーダンスを求める
  2. 一相あたりの相電流を求める
  3. 一相あたりの電力を求める
  4. 同じものが3つあるので、3.で求めた値を3倍する

となります。ちなみに、第二種電気工事士で出題される三相回路は全て平衡回路と言って、同じ値のものが3つあると考えてください。なので、最後に電力を3倍するのです。

では、最初にインピーダンスを計算します。

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インピーダンスの公式

インピーダンスは、上の公式で求めることができます。覚えていなくても、8と6は10、12と16は20と覚えてしまえば必要ない公式ですが、万が一のことを考えて余裕のある方は公式を覚えておいてください。では、この公式に値を代入すると次のようになります。

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インピーダンスの計算

 

10Ωが出てきました。これを使って、相電流を以下のように求めます。

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相電流を求める

この時、相電圧と線間電圧の関係は三相回路:デルタ結線の計算 - デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室で解説した通り、

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デルタ結線の各電圧の関係

なので、電圧は200Vのままで計算します。すると20Aが出ますので、これを使って、電力を以下のように計算します。

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全体の電力

9600Wが答えですが、kWで答えなければならないので正解は9.6kWです。

なぜ抵抗Rのみで計算するのかというと、コイルは電力を消費しないからです。詳しい説明は割愛しますが、コイルの絡む問題は、力率の計算にせよ電力の計算にせよ、コイルは最後には必要ないものとなります。悲しいですが。

デルタ結線やスター結線の問題は、こうやって実際に計算をさせるものの他にも、1線が断線したときの電圧や電流の変化を答える問題もあります。いずれはそういった問題も解説したいともいます。