前回(三相回路:デルタ結線の計算 - デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室)、前々回(三相回路:スター結線の計算 - デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室)と三相回路の電圧と電流について解説をしましたが、今回は具体的な問題の解き方を解説します。
下の図は2019年度下期の問5です。
電流Iは何Aになるか?という問題です。問題内容としてはとてもオーソドックスなものですが、線電流と相電流は同じであるが、線間電圧と相電圧は同じでないということを覚えておかないと、ミスリードの選択肢を選んでしまいますので、気を付けてください。
では、解説に入ります。
この問題でわかっているのは、
- 線間電圧が210V
- 一相(?)のインピーダンスが10Ω
の2点です。インピーダンスが出ているので、計算の手順が少なくてすみます。
まず、線電流と相電流の関係を思い出してください。
同じ値でしたね。次に、線間電圧と相電圧の関係を思い出してください。
このように、線間電圧は相電圧の√3倍(1.73倍)でした。今回は、線間電圧から相電圧を求め、その値とインピーダンスを使って相電流を求めるという手順になります。
では、相電圧を求めます。
線間電圧210V÷1.73≒121.38728…
後の計算が面倒なので、121Vにします。次に、インピーダンスの10Ωを使って電流を計算しますが、オームの法則と全く同じです。抵抗RがインピーダンスZに変わっただけです。なので、
I=121÷10=12.1
となり、正解は12.1Aとなります。
ミスリードの選択肢としては、線間電圧をそのままインピーダンスで割った21Aに近い20.0Aがあります。第二種電気工事士の計算問題は大体の値で良いという教えが、ここでは仇となります。
210÷1.73の計算は面倒ですが、ここだけはしっかりと計算をしてください。なお、電気ペンギンはこういう場合は小数点以下までは計算しません。時短です。
今回はスター結線における計算でしたが、次回はデルタ結線における計算を探して解説したいと思います。