デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室

第二種電気工事士試験について、少しでも役に立つ情報を発信します。

力率を改善すると電流は減る

以前、「位相がズレると効率が悪い - デンキペンギンの第二種電気工事士対策教室」で位相がズレると力率(効率)が悪くなる的なことを解説しました。今回はその理由について、少しだけ詳しく解説をします。

位相やらベクトルやらが出てきますが、難しい事はありませんので気軽に呼んでください。

 まず、抵抗(ここでは電線と思って下さい)とコイル(リアクタンス、電動機)のみの回路を想定します。この時、抵抗に流れる電流を基準に考えると、コイルに流れる電流は、下の図の通りになります。

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RL回路のベクトル図

コイルに流れる電流は90°遅れ(ベクトルが90°下向きになる)ます。この時、上の図のように抵抗の電流IRとコイルに流れる電流IL合成すると、赤い矢印のようになります。これが、この回路に流れる電流の大きさと向きになります。矢印の長さが電流の大きさ角度が向きです。ちなみに、今回は大きさは適当です。位相については、基準より下側が遅れ上側が進みとなります。

では、次に抵抗とコンデンサ(キャパシタ、低圧進相コンデンサ)の回路です。抵抗に流れる電流を基準に考えると、コンデンサに流れる電流はしたの図の通りになります。

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RC回路のベクトル図

コンデンサに流れる電流は90°進み(ベクトルが90°上向になる)となります。この時、RL回路の時と同様に抵抗に流れる電流IRコンデンサに流れる電流IC合成すると、赤い矢印のようになります。これがこの回路に流れる電流ですが、コイルの時とは違って進みとなります。

では、第二種電気工事士の筆記試験で出題される、「電動機の力率を改善するために低圧進相コンデンサを並列に接続した」的なベクトル図を紹介します。

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RLC回路のベクトル図

この時、ILとICは全く逆の方向を向いているため、遅れと進みを打ち消すことになります。ということは、回路に流れる電流は、遅れもせず進みもせず位相が基準電流と同じ(同相)になるということです、多分。この時、力率が改善されると回路に流れる電流は少なくなります。理由は、下の三角比の図を見てもらえればわかると思います。

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三角比

三角比の「2」のところが、「√3」のところに行くわけですから、当然短くなります。よって、力率が改善されると電流が少なくなることがわかります。

もっと分かりやすい(覚えやすい)説明(?)は、効率が良くなると楽をして結果を出せるというところでしょうか?

仕事の効率化(合理化)が進む→仕事量が減る→残業が減る→肉体的精神的に楽になる

的なところでしょうか?

この辺りの理論は結構な頻度で出題されています。ここで解説している内容は解釈の一つですので、自分なりの解釈で覚えてもらえたらと思います。